悩む必要はない

幸福への道はただ一つしかない。
意思の力でどうにもならない物事は、悩まないことである。

エピクテトス

自覚している気質に、小心者なところがある。
初対面や付き合いの短い間柄では、人当たりが良く、老若男女問わず、わりと卒なくその場を過ごせてしまう。一方、気にしても仕方のないことに気を揉んで、無駄に悩んで、人知れず落ち込むことも過去にはあった。

そんな振れ幅の大きな自身の心の扱いを持て余していた十代から二十代前半を経て、心のありようや心の問題に興味を持ち、三十代で大学の心理学科に編入して学び直し、四十代では、目に見えないモノやコトへの信頼が増した。長い道のりを経て、最近では自分でも切り替えが早くなり、悩まなくなったと感じる。

感じたり思ったりすることがなくなった訳ではなく、その時々でしっかり内観し、ありのままの感情を感じる。モヤモヤしていても仕方がないので、できるだけのことをしたら、その後は状況に委ねる。そしたら、悩む必要がなくなってきた。そして、何より今が一番生きやすく、ありのままの自分自身でいられるようになってきた気がしている。

様々な感情を経験した日々の積み重ねから、この4月の誕生日で半世紀も生かされたという事実に、今までにない幸福な感情を感じている。数え上げたらキリがないほど、すべてのことに感謝を込めて。